当時保育園だった私。
兄と行った遠くの模型店が、最初の出逢いである。
カタカナすらまともに読めなかった私に、稲妻の様な衝撃を与えたあるプラモデルの箱イラスト。
兄に、「あれ何?」と尋ねても「知らん」の一言。
数日経過したが、模型店で見たあのイラストのロボットの事が、どうしても忘れられない。
更に暫くして友達宅に遊びに行った時、二度目の出逢いは訪れた。
そう…彼の名はアトランジャー
プラモデルなのに色数が豊富で、超合金みたいにパンチが飛ぶ。
スクランダーみたいな格好イイ翼。
親父にしつこくねだってついに買って貰う事になったが、大人気でどこも売り切れ。
気を利かせた親父が代わりに買ってくれたのは、車輪付きのブルーアース号(宇宙の騎士テッカマン)…
後になって知った言葉【トラウマ】が似合う、1975年のエピソード。
…時は流れ小学生時代。
あれ以来、模型屋でアトランジャーの姿は見かけない。
私の小遣いは、一日¥30にアップしていた。
がしかし、仮にアトランジャーがあったとしても、この財政では入手不可能な事は何も変わらなかったが。
空腹を満たすかの様に、恐らく多くの諸兄がそうだった様に、ミニ合体シリーズには随分お世話になった。
しかしこの¥100シリーズこそ、子供の財布にやさしいが第二のトラウマを植え付ける悩ましいアイテムである事を当時知らずにハマる。
合体シリーズを集めた猛者であれば、誰もが一度は突き当たる壁…それは、フルコンプの難しさ。
1つの完成体を4つの小箱(¥100)に分別した、悩ましい商品仕様。
ミニアトランジャーという商品もあったらしいが、模型屋で見掛けた事は一度も無い。
恐らく、奪い合いだったのだろう。
合体シリーズは、袋(フィルム)に入れられ4コが同時に買える様配慮されていたが、袋を破り1箱づつ購入するのは、当然必然庶民スタンダード。
同胞の中には、4箱を袋ごと購入を果たす所謂【大人買い】をする希少人種も居いたが、私は当然前者(庶民)。
少ない小遣いをやりくりし、お金が溜まった頃には目当てにしていたコルドマシン(注:合体ロボットムサシの腕)は、見当たらず。
私は、不揃いに残れ残ったマシンでお茶を濁す日々。
ええ、ただの一度もフルコンプしたことなんてありませんわ。
アトランジャーは、ミニタイプも含め結局夢のまま。
でもそれは、私だけの話ではない筈。
当時を知る者であれば、アトランジャーの入手困難さ、合体シリーズ4機(箱)を欠品無く集める事の難しさは知っている筈。
これらの経験が、アトランジャーや合体マシンに対する想いを揺るがないものにしたと自負しています。
…更に時は流れ1998年
アオシマからアトランジャー再販!
価格¥4,000…意外に安い!
私の財政は小学生の時よりも張るかに潤沢になり、この程度なら難なく購入可能となる(大袈裟な…)。
しかしながら、大抵昔の玩具を購入すると、そのチープさに落胆させられる場合が多い。
アトランジャーも多聞に漏れず…あれれ?思った程浮沈化していないぞ。
スナップフィットモデルの前身とも言うべき画期的なリング固定とネジ固定。
模型屋で初めて手にしたアトランジャーに興奮気味。
でも、でも…やっぱり厳しい。
画期的且つ独創的だったイロプラも、接着剤無しで組める手軽さも、最新プラモと比較すると出る幕無し。
「少年の心を持った大人」のつもりが、「アラを探す事に懸命なオッサン」になってしまった様だ。
手にしたが結局買わず、店を出た私。
アトランジャー…ゴメンナサイ…
そして2013年
理想に近いアトランジャーが、もうすぐ我が家に!
一生出ないと思われた究極会心のアトランジャー!
我々は36年待ったのだ!!!!!!
あれ?数年前に他者からアトランジャーが出ていた様な…気のせいかな?
月並みな言葉ではありますが…当時の私にプレゼントしてやりたいぃぃぃ。
超期待しています。
同スケールタイガーシャークに、アトランジャーがそのまま収納される事。
収納したアトランジャーが、長期間癒着する事無く収納される仕様である事を祈っています。
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